有名な漢方薬に「葛根湯(かっこんとう)」があります。
服用したことがある方も多いと思います。
「カゼのひき始めに飲んだらすぐに治った。」
「まったく効かなかった。」
「漢方だから効く時もあれば、効かない時もあるのだろう。」
など、いろいろな感想があると思います。

結論から言いますと、「すべてのカゼに葛根湯を使う」というのは間違いで、
カゼの種類によって、使い分ける必要があります。

「寒気から始まるカゼには葛根湯または麻黄湯(まおうとう)、
発熱やのどの痛みから始まるカゼには、
銀翹散(ぎんぎょうさん)または天津感冒片(てんしんかんぼうへん)」
と覚えてください。

葛根湯は、身体を温めて、汗をかかせることで、カゼを治す薬で、
銀翹散は、身体の表面の熱を冷ますことによって、カゼを治す薬です。

例えば、冬の寒い日に、外に長時間いたために、身体が冷えて、
背中からゾクっと寒気がした時に、葛根湯をすぐに服用すれば、
1~2回の服用で治ってしまいます。

春先の、暖かかったり寒かったりの気候が不安定な時期に、
寒気はあまりないけど、のどが痛い、熱っぽいなどの症状が出た時は、
銀翹散を服用してください。
この時に葛根湯を飲んでも、まったく効きません。

また、正しい葛根湯の飲み方は、
「葛根湯を飲んだ後は、温かいおかゆを食べて、毛布をかけて横になって、汗をかく」
です。ここまでが正しい治療法です。

仕事で、横になれない時などは、葛根湯を飲んだ後に、
熱いうどんに、生姜とネギをたくさん入れた物を食べて、汗をかくといいでしょう。
ちなみに、生姜も白ネギも、漢方薬に使われる、身体を温める生薬です。

あと気をつけて頂きたいのは、葛根湯は、汗をかかせて、
カゼの菌を外に追い出す薬なので、
最初から汗が出ている方には、少し強すぎます。
この場合は、桂枝湯(けいしとう)を飲んでください。
やさしく身体を温めて、風邪の菌を外へ追い出す漢方薬です。

このように、漢方薬には、正しい使い方があり、
原因や症状にあわせて、上手に使うと、驚くほど早く効きます。