今回は、慢性頭痛のお話です。
慢性頭痛は、西洋医学的な検査では、原因が特定できないことが多く、
鎮痛剤や抗不安薬が処方されます。

しかし、頭痛を始めとする「痛み」は、
その人を苦しめるために起こっているわけではなく、
その人を救うために、身体の中の異変を知らせるための信号です。

したがって、鎮痛剤で痛みを感じなくしても、
再発しますし、身体の中では異変が起こったままなので、
意味がありません。

そこで、漢方です。
漢方では、慢性頭痛を次の5つに分類して考えます。

1.ストレスが原因の頭痛。
2.漢方で言う「腎」が弱っている状態。老化や過労などが原因。
3.血が不足している状態。
4.食事の不摂生などが原因で、身体に余分な水がたまっている状態。
5.血の巡りが悪い状態。

1.は、ストレスなどが原因で起こり、めまいや不眠、脇の痛みなどを伴うことが多い頭痛で、
この場合は、釣藤散(ちょうとうさん)を飲んでください。
片頭痛は、このタイプが多いです。

また、片頭痛でも、身体の冷え、吐き気などを伴う時は、
呉茱萸湯(ごしゅゆとう)を飲んでください。
身体を温め、冷えを除き、胃腸を整え、頭頂~側頭部の頭痛を改善します。

2.は、頭が空になったような痛みで、めまい、耳鳴り、腰痛や腰がだるいなどの
症状を伴うことが多いです。
この場合は、八味地黄丸を飲んでください。
これは、ひん尿の市販の薬「ハルンケア」の中身で、「腎」を補う薬です。

3.は、めまい、ふらつき、身体がしんどいなどの症状を伴う頭痛で、
この場合は、血を補う作用のある、四物湯(しもつとう)か、
婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)をのんでください。
ただし、これらには止痛作用がないので、
頭痛が強い場合は、川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)を併用してください。

4.は、めまいや、悪心、嘔吐を伴うことが多く、舌を見ると、白い厚い苔が乗っています。
この場合は、半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)を飲んでください。
普段から、食事で、甘いものや脂っこい物を多く摂っている方は、
身体の中に、余分な水がたまり、この状態になることが多いです。
この方は特に、野菜、魚中心の和食にしてください。
お酒、タバコもこの頭痛を悪化させます。

5.は痛む場所が固定して移動しないことと、
刺すように激しい痛みが特徴です。
この場合は、冠元顆粒(かんげんかりゅう)か
血府逐瘀湯(けっぷちくおとう)を飲んでください。
以前にもちらっとお話した、麝香(じゃこう)という生薬を
併用すると、なおいいです。

このように、西洋医学的に原因が特定できない慢性頭痛でも、
東洋医学的な考え方で、身体の中で何が起こっているかを特定し、
それに合う漢方薬を服用すると、しっかり効果が出ます。
ぜひ、お試しください。