先日来られた80代女性の方、
半年前ぐらいから頻尿で、ひどい時は1~2時間おきぐらいにトイレに行く。
1ヶ月前ぐらいから、トイレに間に合わず、漏れてしまうことが度々あった。
漢方で、治りますか?とご相談に来られました。

この方は、冷え症があり、漢方でいう「腎」が弱っていることと、
「気」が不足していて、尿をためておく力が弱っている状態と考えられたので、
「腎」を強くして、体を温める漢方薬と、
「気」を補って、尿が漏れ出ないようにする力を強くする漢方薬を飲んで頂きました。

3週間後、
尿漏れがだいぶなくなり、トイレに行く回数も少し減りました。
と、報告に来てくださいました。
引き続き、2週間分、同じ漢方薬をお渡ししました。
それから2週間後、
尿漏れはほとんどなくなり、トイレに行く回数も人並みになりました。
ありがとうございました。
恥ずかしくて、誰にも相談できなかったので、
本当に助かりました。
と、言って下さいました。

お力になれて、本当によかったです。

漢方でいう「腎」とは、西洋医学でいう腎臓と同じ物ではなく、
成長・発育・生殖・老化を支配する、
水分代謝をコントロールする、
聴覚、平衡感覚をコントロールする、
呼吸をコントロールする、
カルシウム代謝をコントロールする、
などの機能のことを言います。

例えば、耳鳴りがして、頻尿があって、腰痛もある方がいるとします。
西洋医学では、3つの症状を別々の病気と診て、別々の薬を使って、治そうとします。
それぞれ、耳鼻科、泌尿器科、整形外科へ行かないといけないかもしれません。
漢方では、これらの症状が、「腎」が弱っていることが原因とわかれば、
腎を強くする漢方薬を使うことによって、3つの症状をいっぺんに治せることがよくあります。

漢方の医学理論は、「陰陽五行説」という、中国の自然哲学から来ているので、
日本人には理解しづらく、うさんくさい物と思われがちですが、
実際に、この理論に基づいた治療で、患者さんが治っていくので、
今まで西洋医学一辺倒だった日本の医師も、認めざるを得なくなっています。
漢方は科学的根拠がない、などと言われることがありますが、
数千年の臨床経験が、その効果を証明しています。
実際に効くから、現在でも使われているのです。