アルツハイマー病は、脳の中にたまった、
アミロイドβタンバクとタウタンバクという2種類のタンバク質が、
認知機能に重要な役割を果たす脳の神経細胞を破壊していく病気です。

アミロイドβタンバクとタウタンバクは、
健康な脳でも毎日少しずつ作られています。
これらは加齢とともにたまり始めますが、
早い人では40代から、人によっては50代、70代、90代からというように、
たまり方の個人差がとても大きいという特徴があります。

最近の研究で、アミロイドβタンバクとタウタンバクがたまりやすくなる要因が
明らかになってきました。
アミロイドβタンバクがたまるのに関わる要因が生活習慣病と睡眠不足、
アミロイドβタンバクとタウタンバクの双方がたまるのに関わる要因がストレス、
脳の神経細胞自体を弱らせる要因が歯周病や視力、聴力の低下などです。

アミロイドβタンバクやタウタンバクをたまりにくくする要因
つまりアルツハイマー病を予防する方法もわかってきています。
それは、運動、食物、社会的接触、コミュニケーションです。

①運動
科学的な研究で最も効果が高いとされている予防法が運動です。
特にウォーキングなどの有酸素運動は、
アミロイドβタンバクを分解する力を増し、
脳にたまりにくくする効果があるとされています。

②食物
野菜や果物の摂取が、認知症予防に有効であることがわかっています。
特に、野菜や果物に含まれているポリフェノールには、アミロイドβタンバクやタウタンバクを
たまりにくくする作用があるものがいくつかあります。
例えば、赤ワインに含まれるミリセチン、
なすの色素に含まれるデルフィニジン、
青魚に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)などです。

③社会的接触、コミュニケーション
楽しく会話をすることが、脳に良い刺激になり、
脳の神経細胞が活性化されます。
家族をはじめ大勢の人と話したり、一緒に活動したりして、
コミュニケーションをとるようにしましょう。

認知症は、アミロイドβタンバクがたまり始めてから発症するまでに、
何十年もかかります。
そのため、その間の生活スタイルで発症を遅らせる事が十分可能といえます。
(NHKきょうの健康5月号より)