ドロドロの血液をサラサラにし、
血管のつまりを改善する効能、
つまり、脳梗塞や心筋梗塞の予防に使える漢方があります。
それは、「丹参(たんじん)」という生薬です。

西洋薬でも、血液が固まるのを抑える薬はあるのですが、
血を固めないようにする反面、出血しやすくなるという副作用があります。

丹参には、このような副作用はなく、
中国では、狭心症や心筋梗塞の発作を起こした患者さんに、
丹参を主成分にして作られた漢方の注射剤が使われ、
効果をあげています。

漢方薬は慢性病の治療にゆっくり時間をかけて使うイメージがあると思いますが、
丹参製剤には、血液をサラサラにし、
冠動脈内の固まった血(血栓)を溶かす働きがあるので、
中国では、急性期に点滴として使われています。

丹参は、サルビアという植物の根および根茎で、
血管を拡張し、血流をよくする作用、
血圧を下げる作用、
血栓形成を防ぐ作用、
血液粘度を下げる作用、
血管を若く保つ作用、
抗酸化作用があります。

中国が文化大革命の激動のさなかにあった頃、
狭心症や心筋梗塞で命を落とす人が急増し、
時の周恩来首相の号令の下、国をあげて特効薬開発が進められ、
完成したのが、「冠心Ⅱ号方」という丹参を主成分とする漢方薬でした。
(「脳と心臓の血管は丹参で蘇る」阿部博幸、路京華著より)

日本では内服ですが、丹参を主成分とする漢方薬があり、
日本の多くの西洋医の間でも研究が行われ、
脳梗塞や心筋梗塞の予防効果や、最近では、
認知症の予防や症状改善の可能性が示され、期待が高まっています。

日本の死因第二位、第三位である、心臓疾患、脳疾患の予防に、
多くの人に飲んでいただきたい漢方薬です。