肺ガンの発生率は60歳を超えると急速に高くなりますが、
これは成人した頃に始まる喫煙習慣の有無で大きく変わります。

国立ガンセンター予防研究部長の津金昌一郎氏が、
9万人に対して追跡調査を行った結果、
タバコを吸わない人に比べて、タバコを吸う人は、
4~5倍高い確率で肺ガンになることがわかりました。
肺ガン以外のガンになる確率も1.5~1.6倍高いことがわかりました。

また、禁煙した人を年数ごとに分けて肺ガンの発生率を比較してみると、
禁煙してから9年以内の人は3倍、
10~19年で1.8倍とだんだん低くなり、
20年以上禁煙した人は、タバコを吸わない人とほぼ同じになりました。
禁煙した人のガンリスクが下がっていくのには長くかかりますが、
確実に効果は出ます。

ガン以外の病気でも、脳卒中については、男性で1.3倍、女性で2倍、
心筋梗塞については、男女とも約3倍、
糖尿病については、男性で1.4倍、女性で3倍リスクが高くなります。
禁煙してガンのリスクを減らすには何年もかかりますが、
脳卒中、心筋梗塞、糖尿病ではそのペースは速く、
特に心筋梗塞はやめた直後からでも、その効果が現れます。

また、タバコを吸う人は、自殺願望や自殺を試みるリスクが2倍ほど高くなるという報告が
最近されました。
喫煙とうつ病と自殺の関係は、まだはっきりわからないことも多いですが、
心の健康にも悪影響を与えることは確かなようです。

他にも、受動喫煙の問題があり、
タバコを吸わない女性の肺ガンリスクは、夫が1日20本以上喫煙していると、
2倍高くなります。
子供の喘息や肺炎、気管支炎への影響も明らかです。

タバコを吸い続けていても何ら病気をすることなく長生きする人もいますが、
病気になる確率は確実に上がり、家族を病気にしてしまう確率も上がります。
(「なぜガンになるのか?その予防学教えます。」津金昌一郎著より)

禁煙という決断をすれば、ガンになるリスクを3分の2に減らすことができ、
家族を病気にしてしまうリスクも減らせるわけですから、
この決断はとても大きな見返りを期待できます。
喫煙中の方、ご一考くださいませ。