例年、梅雨明けの頃から、熱中症の患者さんが増加します。
今回は熱中症のお話です。

記録的な猛暑となった2010年には、6~9月の熱中症による死亡者数は1684人でした。
11年以降は暑さが少し和らぎ、死亡者数は減少していますが、
それでも昨年は685人の方が亡くなっています。
熱中症のことをしっかり理解して、対策を立てることが必要です。

①体内の水分や塩分の欠乏
②高体温
によって、さまざまな臓器に障害が起こる。
これが、熱中症です。

暑い環境に長時間さらされたり、スポーツや肉体労働などによって、
大量の汗をかくと、体内の水分や塩分が不足し、脱水状態になります。
水分や塩分を補給しないでいると、汗をかけなくなり、
体内の熱を放出できなくなり、熱中症になります。

また、気づかないうちに体内の水分量の不足が起こっていると、
猛暑日や熱帯夜などをきっかけに、急に熱中症の症状が現れることがあります。

特に、高齢者は注意が必要です。
加齢とともに、体内の水分量が減少し、そのため、少し水分を失っただけで脱水を起こすリスクが高くなります。
また、汗をかく量が減少するため、体温を下げることが難しくなります。
気温変化を感じる感覚が鈍くなり、暑さやのどの渇きを感じにくくなることも原因です。

熱中症を予防するためには、まずは水分補給です。
のどの渇きを感じなくても、1~2時間に1回は水分をとることが必要です。
寝る前と、朝起きた時もコップ1杯程度の水分をとってください。

食事がきちんととれていれば、日常必要な塩分は補充できているので、
特に塩分をとる必要はありませんが、
外の仕事やスポーツなどで大量に汗をかいたり、脱水気味のときは、
水分と塩分を補給する必要があるので、
スポーツドリンクか、梅干しと水を飲んでください。

室内でも油断は禁物です。
エアコンを使って、室温は28℃以下に、湿度は70%以下を目安に調節してください。

体調を整えることも大事です。
十分な睡眠をとり、体調不良を起こさないようにします。
外出から戻ったり、汗をかいたりした後は、涼しい部屋で休み、水分を補給してください。
(NHKきょうの健康7月号より)