福岡市にある、みらいクリニック院長の今井一彰先生は、
患者さんの口呼吸を鼻呼吸に変えることによって、さまざまな難病を治療しています。
その方法をご紹介します。
まず、なぜ口呼吸が悪くて、鼻呼吸が良いかといいますと、
私たちは1日に2万回以上呼吸をして、1万リットル以上の空気を吸っています。
これだけの量の空気が体を出入りするので、
それには相当量のホコリや細菌、ウイルス、カビなどの異物が含まれています。
これらが体内に入るのを防ぐのが鼻です。
鼻毛や粘液で、空気中の小さなホコリや細菌が肺に入るのを防ぎます。
また鼻はとても複雑で入り組んだ構造をしており、常に湿り気を持ち、
冷たく乾燥した空気が入ると、速やかに湿度と温度を与えます。
これによって、ウイルスも入りにくくなります。
口呼吸では、その防御をしないまま体の奥深くへ空気を吸い取ることになってしまうのです。
自分が鼻と口、どちらで息をしているのか、
ほとんどの人は気にしたことがないと思いますが、
ほとんどの人が口呼吸になってしまっているそうです。
口呼吸が常態化している人は、たいてい口が開いた状態になってしまっています。
これは舌や口周辺の筋肉が弱っていて、舌がだらりと下がり、
下あごを支えきれなくなって口が開いてしまっている状態です。
これを改善する方法が、「あいうべ体操」です。
みなさん、ぜひ一度やってみて頂きたいのですが、
「あ」「い」「う」「べ」(「べ」は下を出して伸ばす)と、
口を大きく動かす動作を1セットとし、10回やってみてください。
声は出しても出さなくてもいいです。
舌の位置が普段は歯の裏や下あごについている人が多いと思うのですが、
「あいうべ体操」をやった後は、上あごについている人が多いのではないでしょうか。
これが舌の正しい位置で、舌の位置が良くなれば、自然に口を閉じることができるようになり、
口を閉じれば鼻呼吸になり、健康になります。
10セットを1日2回朝晩やってください。
口呼吸は風邪やインフルエンザだけでなく、多くの疾患と関連があると言われています。
〇アレルギー疾患(気管支喘息、アレルギー性鼻炎、花粉症、アトピー性皮膚炎)
〇口腔疾患(ドライマウス、歯周病、顎関節症)
〇腸疾患(胃炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、痔、便秘)
〇うつ病、パニック障害、全身倦怠感
〇膠原病(関節リウマチ、全身性ループスエリテマトーデス、多発性筋炎など)
などです。
鼻炎などで鼻が詰まってしまうから、口呼吸になるという方がいると思いますが、
これは実際には「鼻が詰まるから口呼吸になる」のではなく、
「口呼吸だから鼻が詰まる」のだそうです。
「あいうべ体操」ぜひ、やってみてください。
(「口を閉じれば病気にならない」今井一彰著より)