「気」というと、漢方独特の概念のように思われがちですが、
実は皆さん、日常よく体感していると思います。

気とは、エネルギーのことで、「元気」「気合い」「気力」=「気」
と思って頂いたらいいです。

例えば、疲れ果てている時や落ち込んでいる時、
「おいしい物でも食べて元気を出そう。」と思って、
実際元気になることがあります。
これは、食べ物で気を補って、さらに、
「おいしい」「うれしい」と感じると、気がめぐるから、
実際に楽になるのです。

冬になると厚着をしていてもカゼを引く人は、
気が不足している人に多いですが、
1年中半そで半ズボンの子供や、
寒中水泳や乾布摩擦をしていても、カゼを引かない人がいます。
これは、「気合いが入っているから」とか言われますが、
まさに気が十分にある人です。

こんな話もあります。
中学生で、学校へ行く時間になると、お腹が痛くなり、
学校を休んでいいと言われた途端、
お腹の痛みが治る子がいました。
病院へ行くと、「これは気のせいです。」と言われ、
もちろん薬も出ず、仮病扱いされてしまいました。
漢方薬局へ来ると、「これは気が原因です。」となり、
気の巡りをよくする漢方薬を飲み続けて頂くと、
お腹が痛くなることはなりました。
同じ「気のせいです。」という言葉でも、
西洋医学と東洋医学では、全然違う意味になります。

「病は気から」という言葉もありますが、
例えば、カゼが治ると元気になりますが、
正確には、気の状態が元に戻ったから、
つまり元気になったから、カゼが治るのです。

つかれやすい、声に力がない、
息切れ、動くと症状が悪化する、
食欲不振、消化不良、食べた後すぐに眠くなる、
カゼをひきやすく治りにくい、
などの症状は、漢方で「気虚(ききょ)」といって、
気が不足している状態と考えられ、
気を補う漢方薬を飲み続けると改善されます。

というわけで、次回は、気を補う漢方薬のお話です。