「月経期に肌が荒れる」
「顔にくすみとシミがある」
「数年間使用している化粧品にかぶれた」
など、女性の肌のトラブルの相談は多いです。

しかし、よく聞いてみると、大なり小なり内臓のどこかにトラブルを抱えている、
という共通点があります。

「肌は内臓を映す鏡」と言われています。
生活習慣を含む何かの原因によってもたらされた、体の内部の変調が肌に現れるのです。
化粧品などによる外部からの直接的ケアは、見た目には即効的効果があるますが、
根本的な解決はできません。

「美肌は一日にしてならず」です。
美肌とは素肌の美しさであり、素肌の美しさは健康の証明でもあるのです。

美肌の条件は、潤い、つや、滑らかさ、張り、弾力、血色です。
ところが、気候の急激な変化、ストレス、乱れた食生活(多食、偏食、冷たい物やなま物の食べ過ぎ)
過労、運動不足、睡眠不足、紫外線、乾燥、慢性疾患などが原因となり、
くすみ、シワ、たるみ、乾燥肌などが現れます。

それぞれの状態の漢方的な原因と、使う漢方薬をお話します。

〇くすみ
1.気と血が不足した状態。
2.血の巡りが悪い状態。
3.気の巡りが悪い状態。

1.は、疲れやすい、めまい、立ちくらみ、動悸、不眠、手足のしびれなどの症状を伴うことが多く、
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)、または婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)を使います。

2.は、顔色は黒ずみ、唇や舌の色が紫色を帯び、生理の時に塊が多くなることが多く、
血府逐瘀湯(けっぷちくおとう)を使います。

3.は、イライラして怒りやすい、胸や脇に張りや痛みを感じることが多く、
加味逍遥散(かみしょうようさん)を使います。

〇シワ
1.老化など、漢方でいう「腎」が弱っている状態。
2.血と気の不足。
3.胃腸が弱っている。

1.は、腰やひざのだるさ、痛み、耳鳴り、耳が遠くなる、抜け毛などの症状を伴うことが多く、
冷え症がある場合は、八味地黄丸(はちみじおうがん)、
ほてり、のぼせがある場合は、六味地黄丸(ろくみじおうがん)を使います。

2.は、疲れやすい、汗をかきやすい、貧血気味の方が多く、
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)、または婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)を使います。

3.は、やせていて、疲れやすく、食欲があまりないことが多く、
六君子湯(りっくんしとう)や参苓白朮散(じんりょうびゃくじゅつさん)を使います。

〇たるみ
たるみの基本は、老化防止で、シワの1.~3.の原因と、血の巡りが悪い場合があります。

〇乾燥肌
1.血の不足。
2.陰(体の中の水分)の不足。

1.は、貧血気味の人が多く、めまい、立ちくらみ、動悸、不眠などの症状を伴うことが多く、
四物湯(しもつとう)や婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)を使います。

2.は、口が乾きやすい、便秘、手足のほてりなどを伴うことが多く、
六味地黄丸を使います。

次回は、美肌に良いお食事のお話です。