夏から秋が旬の野菜、ナスです。
「秋ナスは嫁に食わすな」と言われていますが、
これには、「秋ナスは大変おいしいので、嫁に食べさせるのはもったいない」
という解釈と、
「ナスは体を冷やす陰性食品なので、気温が低下してくる秋に食べさせると、
流産などが心配だ」という解釈があります。
しかし、中国の薬草について書かれた「本草綱目」に、
「ナスは性が寒冷で多食すれば腹痛、下痢し、婦人は子宮をいためる」
とあるので、後者の解釈が正しいようです。

このようなナスの冷やす作用を利用して、昔から、
打ち身、ねんざ、やけどなどにシップ薬としても使われてきました。

冷え症や低血圧の人がナスを食べる時は、
体を温める作用のある塩やみそを加えた料理にして食べるとよいです。
焼きナスをおろしショウガで食べたり、漬物に刻みショウガが添えられるのも、
体を温めるための知恵です。

ナスの栄養価は大したことがないですが、
ビタミンCやPが多く含まれているので、
血管をしなやかにし、高血圧や血栓の予防や改善に役立ちます。
また、造血に必要なマンガンも含まれています。
果皮の色素であるナスニンがコレステロール値を下げ、
動脈硬化を防ぐことも明らかになっています。
(「野菜だけで病気を治す」石原結實著より)