疲労は、身体や精神が限界だという警告です。
疲労をためて病気になる前に、休息を取りましょう、というお話です。

疲労とは、身体的あるいは精神的な負荷が連続してかかった時に、
身体や精神の働きが低下して、思い通りに動かなくなった状態を指します。

ただ、疲労が起こっても、その後、休息が与えられると回復して、元通りになります。
つまり、疲労は私たちにとって、生体警告の一種であると考えることができます。

疲労を感じた時には、身体も精神も限界に来ているということです。
通常は、疲労を感じると、その行為や行動をやめるので、回復のチャンスが生まれます。

ところが、人の精神は不思議な物で、本来警告である疲労を、額面通り受け取らないことがあります。
例えば、スポーツをした後の身体的疲労は「爽快」と感じます。
疲労による負の感覚を、達成感が覆い隠してしまうためです。

こうした精神作用は、達成感や成功体験などのポジティブな理由だけでなく、
義務感や周りのプレッシャーなど、ネガティブな理由でも起こります。

場合によってはそれが疲労感を完全に覆い隠してしまい、疲労を自覚しなくなってしまいます。
疲労を自覚しないということは、回復不可能な程度まで負担をかけ続けることにつながります。

結果的に疲労が継続することになり、日常生活に支障が出ます。
この病的な疲労感が「倦怠感」です。
さらに極度な疲労が原因でさまざまな疾病を引き起こすことになります。

これを防ぐためには、疲労に対して正直になることが大切です。
「疲れたから休む」ことは、決して怠慢を意味しません。

そして、とかく疲労の存在を無視してしまいがちであることを前提とすれば、
疲労を感じなくても定期的に休息を取ることが肝要です。
休息して初めて疲労に気づく人も多いと思います。
疲労と上手に付き合い、倦怠感にしないことが大事なのです。
(札幌医科大学、當瀬規嗣教授のお話より)